脳卒中急性期診療支援システムによる来院-治療開始時間の短縮効果に関する多施設共同前向き観察研究
当病院は「脳卒中急性期診療支援システムによる来院-治療開始時間の短縮効果に関する多施設共同前向き観察研究」を行なっています
【研究の意義・目的】
脳梗塞とは、何らかの原因で脳を流れる血液が不足し、脳細胞が障害される病気です。主な原因は動脈硬化や心房細動などの不整脈で、主な症状としては、麻痺、感覚障害、呂律の周りにくさなどが現れます。発症後間もない脳梗塞では、詰まった血管の先にまだ完全に脳細胞が死滅していない領域が存在し、その部分の脳細胞を救うために血管の再開通療法が行われる場合があります。Recombinant tissue plasminogen activator (rt-PA)静注療法や血管内治療といったこれらの方法は、発症早期に行うほど効果が得られやすいと言われています。そのため現在、病院到着から治療開始までの時間を短縮するために世界中で様々な工夫がなされています。その1つとして、脳卒中急性期診療支援システムであるTask.Calc.Stroke (タスカル)というものがあります。このシステムを導入することにより医療現場での情報共有がスムーズになり、来院から治療開始までの時間が短くできることが期待されています。今回、多施設での同システム導入による治療開始までの時間短縮効果を明らかにするために、前向き研究として患者さんを登録するとともに、システム導入前の同期間に治療を受けられた患者さんの臨床情報を後ろ向きにも登録したいと考えています。
この研究は脳卒中診療に対する診療支援ITシステムの影響を評価することを目的としています。これにより、よりよい脳卒中診療システムの開発の一助となり多くの治療と健康に貢献できる可能性が期待されます。
【研究の対象・期間・内容】
京都大学医学部附属病院において2016年3月31日から2020年6月30日の間に、当院で治療を行った急性期脳卒中患者さんを対象としています。
ご提供いただく情報は、治療に関係した時間情報、年齢・性別、身長、体重、既往歴、合併症、発症前後の身体状況、脳卒中病名、重症度、症候性出血の頻度、画像データ、血液データ等です。通常の診療の範囲内で得られた情報を研究対象としますので、患者さんに日常診療以外の身体的及び経済的負担が生じることはありません。なお、この研究の責任者は藤田医科大学脳卒中科 松本省二 です。
【個人情報の管理について】
個人情報漏えいを防ぐため、お名前、住所などの個人を特定する情報は削除した上で、厳重に管理を行い、第三者が個人情報を閲覧することができないようにしております。また、本研究の結果の公表(学会や論文等)の際にも個人が特定できる情報は一切含まれません。この研究に関わる記録・資料は研究終了後5年間(もしくは公表後3年間)保存した後、適切に破棄いたします。
【利益相反について】
この研究は特定の研究者や企業の利益の為に行うものではありません。また、この研究により患者さんの利益(効果や安全性など)が損なわれることもありません。
【連絡・問い合わせ先】
この研究に関する相談やお問い合わせ(研究資料の入手方法を含む。)、またはご自身の診療情報につき開示または訂正のご希望がある場合は、下記連絡先までご連絡ください。
なお、この研究の対象者となることを希望されない場合は、お申し出ください。その場合でも診療上の不利益が生じることはありません。
京都大学医学部附属病院 脳神経外科 担当者 石井 暁
〒606-8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54
電話 075-751-3111
第1版 平成31年6月7日作製