京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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脊髄腫瘍

脊髄腫瘍

脊髄腫瘍は、頚部から仙骨部の脊髄に関連して生じる腫瘍で、比較的少ない腫瘍です。脊髄は脊椎脊柱管内にあり、外側から脊椎骨、硬膜、くも膜、軟膜、脊髄といった構造になっています。脊髄からは神経根が出て、体幹の神経網を構成します。それぞれの組織から腫瘍が発生しますので、診断が難しいこともあります。
 脊髄腫瘍は、①脊髄内に発生する髄内腫瘍、②硬膜内で脊髄の外側に発生する硬膜内髄外腫瘍、③硬膜の外側に発生する硬膜外腫瘍に分類されます。それぞれの分類で発生しやすい腫瘍があります。髄内腫瘍では、星細胞腫や上衣腫などの神経膠腫、硬膜内髄外腫瘍では神経鞘腫や髄膜腫、硬膜外腫瘍では転移性脳腫瘍などがあります。

contents18_07図1: 脊髄腫瘍 上衣腫

contents18_08図2: 脊髄腫瘍 髄膜腫

治療選択

1) 経過観察 無症状の場合で良性腫瘍と画像で診断される場合には、経過を見て増大の程度を探り、治療のタイミングを見ることです。
2) 外科的治療 腫瘍部分の摘出を行います。 メリットは腫瘍が摘出できることですが、全摘出できるかどうかは腫瘍の性格に依存します。腫瘍による症状が改善することもあります。デメリットは、傷ができることや手術操作で新たな症状の出現の可能性があることです。
3) 放射線治療 摘出困難な腫瘍(神経膠腫など)では、放射線治療が有効なことがあります。メリットは、切ることなしに増大を抑制できたり、縮小したりする可能性があることです。デメリットは、増大が抑制できないことがある、放射線治療後の長期の晩期障害が懸念されることです。
4) その他の治療法
(化学療法など)
神経膠腫では、化学療法が有効な患者さんもおられます。

当院での治療特徴

京大病院では、手術、放射線治療を脳神経外科、放射線治療科で作るチーム医療で実践しております。それぞれの治療法のメリット・デメリットをよく理解いただき、治療選択をされることをお勧めしています。また、病気の進展においては、治療介入しない方がよい患者さんもおられますので、腫瘍のサイズ、進展、増大傾向と症状を加味した治療選択がお勧めされます。
 実際の手術では各種神経モニタリングや術中MRI、術中CTを用いて神経機能の温存を目指した手術を行っています。こうした手術をすることで腫瘍により出現していた神経症状が改善することもあります。