京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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臨床活動

1)脳動脈瘤

 脳動脈瘤の顕微鏡下手術、血管内手術の本邦におけるパイオニアとしての歴史と実績を誇っている。開頭直達術と血管内グループとが合同でカンファレ ンスを行い、瘤の解剖学的位置や形状・各治療法の危険率などを考慮して、治療法の選択を行っている。脳ドックやMRAにより発見される未破裂脳動脈瘤は、 自然歴に基づいた治療方針としている。破裂脳動脈瘤には緊急対応で積極的な治療を行っている。治療困難な巨大動脈瘤の紹介例も多く、血管吻合を用いた集学 的な治療を実施している。現在、当科が中心となって、未破裂脳動脈瘤に関する他施設共同臨床研究を遂行中である。

2)脳動静脈奇形

 脳動静脈奇形に対する治療は、全国から紹介患者を集めるほど多数の症例数を有し、その実績は世界的にも認められている。治療法には開頭摘出術・血 管内塞栓術・放射線治療があり、当科では摘出術を第一選択としている。詳細にわたる長期追跡調査結果を含めた豊富な経験から、一つ一つの症例に最適な治療 法の選択を行っている。治療法三者を組み合わせて行うような症例もあり、常に安全な治療法の開発に努めている。最近では、3T-MRIやナビゲーションな どの導入により、さらに高度に脳機能を温存した手術が可能である。

3)閉塞性脳血管障害

 脳梗塞の予防や再発防止に対する治療を積極的に押し進めている。例えば、頸動脈狭窄症例に対しては、内膜剥離術・ステント留置術による頸動脈形 成・拡張術の両者を症例に応じて選択している。もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)に関しては、当科は全国のキーセンターとなっており、多数の症例でバイ パス術を行っており、他施設共同の臨床研究も遂行中である。

4)脳腫瘍

 あらゆる種類の脳腫瘍の治療を行っている。悪性脳腫瘍では、脳機能マッピングを行った上での摘出術と放射線・化学療法を施行している。グリオーマ の化学療法に関して標準的治療はもちろんではあるが、low grade tumorや再発症例に対しても積極的に新規治療を試みている。放射線療法についても放射線治療科と合同でカンファレンスを行い、最新鋭の放射線装置を用 いた集学的治療を行っている。また、言語や運動機能にかかわる部位の腫瘍についても覚醒下手術およびナビゲーションの導入により、高度に脳機能を温存した 手術が可能となり、良好な成績を収めている。下垂体腺腫に対しては、改良を加えた経蝶骨洞的摘出術を用いて、短時間で低侵襲な手術を可能としている。

5)てんかん・痙攣発作

 てんかんに対する外科的治療は、発作が薬剤抵抗性であることを治療の第一条件とし、術前の長時間持続脳波・脳磁図・PET・MRIなどを駆使した諸検査で焦点を厳密に決定してから、焦点切除術を行い良い治療成績を得ている。