京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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脳内出血

(内視鏡治療も含めて)

脳内出血とは

脳内出血は、脳の血管が破れて、脳の実質内に血液が流出する状態です。血の塊を作り、脳を圧迫します(図1)。糖尿病、高脂血症や高血圧などにより動脈硬化が進むと、脳の深くを栄養する細かい血管がもろくなり、破れやすくなると考えられています。

 

脳内出血の原因は

先ほど述べた通り、動脈硬化と高血圧が大きな要因です。抗凝固薬といった血液をサラサラにする薬を服用されている場合にも、脳内出血を起こしやすくなります。その他、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、海綿状血管奇形、アミロイド血管症などの血管の病気が原因で出血を起こすこともあります。

脳内出血の症状

出血した部位によって、症状はさまざまです。手足が動かしにくい、言葉が話しにくい、ふらついて立ちにくい、目が見えにくいなど、これまで出来ていたことが突然できなくなったら、脳内出血を疑って直ちに救急医療機関を受診する必要があります。脳内出血が拡大すると、意識が悪くなったり、最悪の場合は命に関わることがあります。

脳内出血の治療

脳内出血の治療には、薬物治療と手術治療があります。薬物治療では、できる限り血圧を下げます(文献1)。脳の腫れが強い場合はそれを緩和する点滴を行います。薬物治療のみでは十分な効果が期待できない場合や、出血が拡大して症状が悪化していく場合などに手術を行います。頭の骨を外して顕微鏡を使って出血を治療する「開頭術」と、頭の骨に小さな穴をあけてそこから内視鏡(数ミリの細いカメラ)を挿入して血液を取り除く「内視鏡手術」があります。当院では、頭蓋骨を外さなくてはならないような重症の脳出血の方以外は、できるだけ侵襲の少ない「内視鏡手術」を行うようにしています。

脳内出血の合併症

脳内出血に脳室内出血(髄液とよばれる液体が入っているスペースに出血する)やくも膜下出血を伴っている場合、のちに水頭症を起こすことがあります。水頭症は髄液の循環が悪くなって脳室に髄液がたまって脳を圧迫する状態を指します。

脳出血の急性期以後の治療

脳出血の治療は、手術で血液を取り除けば終了ということではありません。麻痺(手足が動かしにくい)や失語(言葉が話しにくいあるいは理解しにくい)などの症状をリハビリを通じて治療します。リハビリの項目で詳しく述べますが、HALと呼ばれる最新のロボットスーツを使って、より効果の高いリハビリを提供しています。脳内出血を起こすと、その後うつ状態になるリスクが高まります。特に高齢者ではうつ状態となるリスクが高く、単に出血を取り除くだけでなく、様々な治療が必要となってきます。

退院支援

在宅復帰、社会復帰までの支援が大切です。脳卒中連携バスを用いて、当院の地域ネットと地域の医療機関が連携して、退院へのサポートを行います。

脳卒中センターの役割

脳卒中センターは、脳卒中に関わるスタッフの業種も数も多く、治療選択肢が多いのが特徴です。そのため、急性期に迅速な対応が可能であり、回復期治療へもスムーズに移行することができます。