京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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もやもや病における出血源(脳室周囲吻合)の効果的退縮を目指した探索的コホート研究

もやもや病患者における頭蓋内出血に関する研究


京都大学脳神経外科では、もやもや病と診断され当院で検査・治療を受けている患者さんを対象に、当院での診療データを集計・調査する研究を行っています。

1. なぜこの研究が必要なのですか?(研究の目的・意義・倫理的側面)
もやもや病が脳出血を合併する原因は未解明でありますが、検査機器の向上により、その危険因子が少しずつ明らかになりつつあります。もやもや病は、大脳に血液を供給する内頚動脈が、病気の進行によって徐々に狭くなったり、閉塞したりする病気です。その代わりとして、通常は見えないほどの脳の細い血管が異常に発達し、血管撮影で煙のように見えるようになります。このように代償性に発達した血管(異常側副血行路)を「もやもや血管」と呼びます。この状況を車道にたとえると、幹線道路が工事などで通れなくなってしまったために、その周囲の細いわき道を、多くの車が通っているようなものです。わき道を通る車が多くなりすぎると交通事故が多くなるように、「もやもや血管」が発達しすぎると脆い血管から出血が起こると考えられます。
もやもや病の患者さんでこのような出血が起こると、大きな後遺症を残したり、命に係わる確率が高くなると言われています。最近の研究(Japan Adult Moyamoya Trial)では、バイパス手術によりこのような出血(再出血)を防ぐことができる可能性が示されました。このため、出血の原因である「もやもや血管」を詳しく調べ、将来の出血リスクがどれくらいあるのかをもっと正確に予測することができれば、どのような患者さんにバイパス術がお勧めできるか的確にお伝えできること、またより効果の高いバイパス術を計画することで、再出血の予防を効果的に行うことが期待されます。
なお本研究に関しては、患者さんの人権や安全性及び科学性について問題がないかを「京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会」で審査され、病院長による承認を受けています。希望に応じて、研究の詳細な計画や方法に関する資料を閲覧することが可能です。

2. どのような研究ですか?(研究の方法・期間)
この研究は、当院に保管される患者さんの診療情報を集計するもので、新しい治療を患者さんに受けていただくものではありません。集められた個人情報は厳重に管理し、発表に当たっては統計学的処理を行いますので、個人名が特定されることは決してありません。この研究で使用させていただく診療情報には、下記のものが含まれます。
・性別、年齢、症状などの、病気に関連するデータ
・MRI、CTAや脳血管撮影、SPECTなどの画像所見に関するデータ
研究期間は、倫理審査承認日より5年間を予定しています。

3.どのような患者さんが対象となるのでしょうか? (研究の対象)
本研究にご参加いただきたい方は、2009年以降に当院を受診されたもやもや病患者さんです。

4.この研究に参加することによるリスクはありませんか?(予測される負担やリスク・個人情報等の取扱い)
この研究に参加されても、それによって診療上のリスクや不利益を被ることはありません。参加されることにより、特別に費用の負担が増えることもありません。また、研究参加にともなう謝礼もございません。
また、診療データを集計することで、患者さんの個人情報が第三者に漏れてしまうリスクをご心配されるかもしれません。しかし、この研究に参加される患者さんのお名前は、診療データが集計される際に暗号化(匿名化)され、どの患者さんのデータなのかが限られた研究者にしか分からないような形で厳重に保管されます。したがって、万一データが盗難等にあったとしても、患者さんが特定される情報が第三者に知られることはありません。また、研究の結果が公表される場合であっても、患者さんの個人情報が他の人に分かることはありません。
逆に、研究にご参加いただいても、それによる患者さんへの直接的なメリットはありませんが、この研究を通じて、もやもや病に合併する脳出血に関する原因・治療について明らかになれば、それが将来患者さんに役立つことが期待されます。

5.集計されたデータはどのように保管されるのですか?(情報の保管及び廃棄の方法)
暗号化されたデータファイルにはパスワードをかけて、研究事務局内のコンピューターの中に保管します。データの暗号を解く鍵となるファイル(対応表)は、データファイルと別にして、外部との接続のないパスワードを設定したコンピューターの中に保管しますが、このファイルにもさらにパスワードをかけておきます。データの保管期間は研究結果発表後10年です。保管期間を過ぎたデータは削除・破棄いたします。

6. 診療情報をこの研究に使用してほしくありません。どうしたらよいでしょうか?(研究の実施に同意しない、および同意を撤回した場合について)
研究への参加を希望されない場合には、その旨研究担当者にお伝えください。その場合、患者さんの診療情報を本研究に使用することは致しません。この研究に参加するかどうかは患者さんの自由です。研究に参加しないからといって、それが今後の診療に影響することは決してありませんので、ご安心ください。また、一旦この研究への協力に同意されても、その後に取り下げたいとお考えになった場合は、いつでも取り下げることができます。ただし、同意を取り消した時点で、患者さんの情報を使用した結果が、既に解析報告や出版物に含まれている場合には、あなたのデータだけを取り消すことはできませんので、予めご了承ください。

7. 研究結果をどのようにして知ることができますか?(研究に関する情報公開、研究に関する資料の入手・閲覧、研究結果の帰属)
本調査が終了し、その結果が明らかになった段階で、ホームページや講演、市民公開講座等を通じて患者さんにお知らせする予定です。
なお、患者さんご自身や御家族、あるいは代理人が、ご自身に関する本研究の診療データの確認や閲覧を希望される場合には、下記研究担当者にお申し出ください。他の対象患者さんの差支えにならない範囲で、ご説明させていただきます。
本研究によって得られた結果は、本研究事務局に帰属します。この研究の結果として知的財産権が生じる可能性がありますが、患者さんとその御家族にはその権利がないことをご了承ください。

8.本研究に関するお問い合わせ先
お問い合わせやご相談がございましたら、遠慮なく下記担当者までご連絡ください。
(1)研究事務局の連絡先
京都大学医学部附属病院 脳神経外科
〒606-8507京都市左京区聖護院川原町54
電話:075-751-3451 FAX:075-752-9501 
E-mail: tfunaki@kuhp.kyoto-u.ac.jp
主任研究者: 宮本 享   研究担当医師:舟木 健史
(2)研究に関する相談苦情窓口
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
電話:075-751-4748
E-mail:ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp