悪性脳腫瘍の新たなバイオマーカー及び分子標的の探索とそれらの臨床応用に向けた多施設共同研究による遺伝子解析

当院で脳腫瘍の治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
研究課題名:悪性脳腫瘍の新たなバイオマーカー及び分子標的の探索とそれらの臨床応用に向けた多施設共同研究による遺伝子解析
~2002 年 1 月 1 日以降に手術時に摘出された組織の医学研究への使用のお願い~

研究目的・方法
脳腫瘍は大変重篤になることがある病気であるにもかかわらず、どのように発生するかなどについては今まで不明でした。近年、次世代シークエンサーという革新的な技術によって全ての遺伝子を網羅的に調べることが可能になり、この方法を使ってすでに様々ながんについて新しい治療法が開発されています。
この研究では、脳腫瘍の患者さんの血液、髄液、病理標本と凍結組織を用いて、脳腫瘍の遺伝子やたんぱく質におこる様々な異常を、国立がん研究センターに設置されている次世代シークエンス、サンガーシークエンス、パイロシークエンス、マイクロアレイなどの最先端の技術を駆使し、脳腫瘍の遺伝子異常を解析します。
また一部の解析は東京大学、慶応大学、大阪大学、京都大学、株式会社エスアールエル、第一三共株式会社、シスメックス株式会社、ライカ・マイクロシステムズ株式会社などの企業を含む共同研究機関でも行われます。トロント小児病院(カナダ)、ドイツがん研究センター(ドイツ)、サーモフィッシャーサイエンティフィック(米国)、東京女子医科大学、ルードヴィク癌研究所(サンディエゴ、米国)など海外の共同研究機関で解析がされることもあります。
この研究により、より優れた診断法や治療法が開発されるという意義があります。また脳腫瘍の組織から腫瘍の細胞を培養または実験動物に移植することにより、脳腫瘍のモデルを作成することができます。脳腫瘍のモデルは、新たな治療法を開発するために大変役立ちます。
さらに脳腫瘍は稀な病気ですので、全国的な共同研究グループを通して多くの検体を集めて解析することにより、日本の患者さんの特色を反映した信頼性の高い結果を得ることができます。
以上のように、この研究では様々な種類の脳腫瘍にそれぞれ特徴的な遺伝子変異などを特定することによってこれらの腫瘍の成り立ちを解明し、診断法の向上や治療方法の選択に役立てること、さらには脳腫瘍のモデルを使って新たな分子標的治療薬を開発することを目指します。
研究期間は研究許可日から 2026 年 3 月 31 日までとします。

研究の対象
2002 年 1 月以降に、当院で脳腫瘍の手術を受けられた患者さんの、血液、髄液および手術で摘出された標本のうち、病理組織診断で使用しない余剰検体を対象と致します。

研究に用いる試料・情報の種類
研究に用いる試料・情報は、脳腫瘍の患者さんの血液、髄液、病理標本と凍結組織等です。当院において、手術によって摘出され、診断に必要な検査が行われた後で凍結保存されている脳腫瘍組織と非腫瘍組織を国立がん研究センターに送ります。
国立がん研究センターでは、その一部から、DNA, RNA(遺伝子を含む物質)を抽出します。これらのうち遺伝子に相当する部分に対して、国立がん研究センターに設置されている次世代シークエンサー、サンガーシークエンス、パイロシークエンス、マイクロアレイなどにより解析を行います。次世代シークエンスは東京大学、キャピラリー電気泳動―質量分析計を使ったメタボローム解析は慶応大学、パイロシークエンスなどを使った解析は株式会社エスアールエルなどでも行われます。診断の終わった病理組織標本を用いて免疫組織化学などの方法で遺伝子・たんぱく質の変化も調べます。
また脳腫瘍組織を直接培養したり移植したりすることがあります。この研究のために予定された手術の方法や切除範囲が変わることはありません。通常の顕微鏡などによる病理組織検査に支障を来たさない場合にのみ、凍結組織は採取され使用されます。
情報としては、年齢、性別、病理診断、手術日、病歴、治療の内容、画像情報、各種検査データ等を国立がん研究センターに提供しますが、患者さんの試料や情報からは、住所、氏名など、個人を特定する情報は削除され、新しく符号がつけられます(匿名化)。
これらの解析結果については、守秘義務があり、患者さん及びご家族のプライバシーの保護には十分注意いたします。匿名化された情報は厳重に保管します。したがって、学会や学術誌などへの研究成果の発表またはデータベースへの登録などによって、患者さんの個人情報が漏れたり、特定されたりすることはありません。

外部への試料・情報の提供・公表
この研究により得られたデータは非常に重要ですので、多くの研究者に提供することにより病気の原因の解明や治療法・予防法の確立に広く役立てられる可能性があります。このため、個人情報が特定できないようにした上でデータを学会や学術誌で発表し、また厳正な審査を受けて承認された研究者にのみ利用を許可された公的データベース(例:Gene Expression Omnibus (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)、バイオサイエンスデータベースセンター(https://biosciencedbc.jp/))に登録するなどして、審査を経て許可された研究者と情報を共有することがあります。データセンターまたは共同研究者へのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。
対応表は当院の個人情報管理責任者が保管・管理します。

その他
この研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を得て行われています。

『京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第7条第2項の研究データの保存、開示等について定める件 平成 27 年 7 月 30 日 研究担当理事裁定制定』の規定によ
り、京大病院で保存するデータ、各種記録の保存期間は当該論文等の発表後少なくとも 10
年とします。
利益相反について、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査・管理しています。

研究組織
国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野 市村幸一国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 成田義孝
埼玉医科大学国際医療センター/包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 西川亮東京大学医学部 脳神経外科 武笠晃丈
獨協医科大学 腫瘍センター 植木敬介 杏林大学医学部 脳神経外科 永根基雄 その他脳腫瘍関連 87 施設 (重複あり)
日本小児がん研究グループ (JCCG) 80 施設 (重複あり)
日本小児分子脳腫瘍グループ (JPMNG) 62 施設 (重複あり)
頭蓋内胚細胞腫ゲノム解析コンソーシアム (iGCT Consortium) 79 施設(重複あり) 第一三共株式会社 癌研究所 荒木一司
シスメックス株式会社 佐藤 淳 株式会社理研ジェネシス 近藤直人
ライカ・マイクロシステムズ株式会社 森島寿貴
Leica Biosystems, Amsterdam, The Netherlands Eric Meershoek
Institute for Neuropathology, University Hospital of Bonn, Germany Andreas Waha
東京大学生産技術研究所 客員教授 陳洛南
サーモフィッシャーサイエンティフィック 片山稔
Thermo Fisher Scientific, South San Francisco, USA Janice Au-Young
The Hospital for Sick Children, Toronto, Canada Cynthia Hawkins, Uri Tabori, Michael Taylor German Cancer Research Center (DKFZ), Heidelberg, Germany Stefan Pfister, David Jones Brain Tumor Research Center, Massachusetts General Hospital, USA 脇本浩明、Daniel Cahill 東京大学新領域創成科学研究科・メディカル情報生命専攻 教授 鈴木穣
大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学 教授 岡田随象
Ludwig Institute for Cancer Research/University of California San Diego, San Diego, USA Prof. Frank Furnari, 三木俊一郎
京都大学 機能微細形態学 教授 斎藤通紀

問い合わせ先
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。
この場合も患者さんに不利益が生じることはありません。

問合せ先および研究への利用を拒否する場合の連絡先: 京都大学医学部附属病院 脳神経外科 荒川 芳輝
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町 54 TEL:075-366-7776、FAX:075-752-9501

相談窓口:
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
TEL:075-751-4748 E-mail: ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp

研究責任者:
国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野 市村幸一
〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1 TEL 03-3542-2511 FAX 03-3542-8170