京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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初発膠芽腫におけるギリアデル留置及び再発膠芽腫に対するギリアデル再留置の有効性と安全性を探索する臨床第II相試験(Gateway-study)

初発膠芽腫におけるギリアデル留置及び再発膠芽腫に対するギリアデル再留置の有効性と安全性を探索する臨床第II相試験(Gateway-study)


1 この臨床試験は、初発膠芽腫と診断された方を対象としています。
初発膠芽腫の標準治療は、まず腫瘍摘出術を行い、その後テモダールと放射線治療を組み合わせた「放射線化学療法(テモダール・放射線同時併用療法)」と、それに続く「維持療法(テモダール)」です。
しかし、腫瘍摘出術後から放射線化学療法(テモダール・放射線同時併用療法)が開始されるまで、病理検査結果が出るのを待ち、また、手術でできた創が治癒するのを待つ必要があり、数週間程度は膠芽腫に対して無治療期間が生じます。また、手術で腫瘍摘出術を行っても、残した正常脳組織の断端には、腫瘍細胞が浸潤しており、この浸潤している腫瘍細胞に効果がある治療法が望まれていました。
今回試験で用いるギリアデル脳内留置用剤(一般名:カルムスチン)は、もともと1955年に見出されたカルムスチンという抗がん剤を、脳内に留置できるようつくられた製剤です。カルムスチンは1979年米国で、注射剤として多発性骨髄腫などに対して承認されて以降、欧米では脳腫瘍に対しても広く用いられてきました。しかしながら、脳腫瘍細胞を死滅するためには高用量が必要なため、骨髄抑制や肺毒性などの重篤な全身性の副作用が報告されていました。加えて血中半減期が約15分と短く、脳腫瘍に対しては脳腫瘍部への局所投与が理想的とされていました。このお薬は脳腫瘍切除腔に留置すると、有効成分であるカルムスチンが徐々に放出されるようにつくられています。
これまでに行われた臨床試験の結果から、ギリアデル脳内留置用剤は副作用もありますが、適切な対処を行うことで、安全に治療が行えると考えています。
国外では米国などで臨床試験が行われており、初発および再発膠芽腫患者において生存期間の有意な延長が認められています。国内では2009年から初発の悪性神経膠腫及び再発の膠芽腫の患者さんを対象とした臨床試験が行われ、良好な抗腫瘍効果と安全性が確認されました。しかしこの国内での臨床試験は小規模で行われたものであり、このお薬の有効性と安全性を出来るだけ正しく評価するためには、より規模を大きくした臨床試験が必要と考えられ、そこで今回この臨床試験を計画しました。

あなたがこの臨床試験に関して知りたいこと、心配なことや健康被害に関する相談がありましたら、いつでも下記までご質問、ご連絡ください。



【担当者】

京都大学大学院医学研究科 脳神経外科 

【問い合わせ先】荒川芳輝    〒 606-8507   京都市左京区聖護院川原町54   

TEL: 075-751-3459  FAX: 075-752-9501