センターについて
6つの基幹施設をもつ脳神経外科ネットワーク
京都大学脳神経外科交流センターは2025年6月に京都大学脳神経外科同門会によって立ち上げられた情報サイトで、会員数約470人、約40施設の関連病院を持つ日本最大級の脳神経外科医のネットワークです。脳神経外科では、大学病院が唯一の基幹施設となり、関連病院に専攻医を派遣する形の大学医局が多いのですが、私たちは、京都大学、国立循環器病研究センター、医学研究所北野病院、神戸市立医療センター中央市民病院、倉敷中央病院、静岡県立総合病院の6つの基幹病院が独自のプログラムで専攻医を育成していることが最大の特徴です。得意分野の異なる6つのハイボリュームセンターに毎年多くの専攻医が入職し、各学年合計10~15人が切磋琢磨しています。基幹病院間の異動も活発に行われており、各病院の強みを生かした研修が受けられます。専攻医はそれぞれの基幹施設長と相談しながらキャリアパスを決定します。各病院のInstagramからは最新の様子を見ていただくことができます。このサイトが脳神経外科のキャリアを考える先生方の情報源となれば幸いです。

荒川 芳輝 教授
各プログラムの特徴
京都大学の年間手術数は約700例です。脳腫瘍に対する覚醒下手術、頭蓋底外科、もやもや病、巨大動脈瘤など、難易度の高い症例が多く集まるため、アカデミックな知見を豊富に得ることができます。2023年からは荒川教授が率いる新体制となり、“専攻医ファースト”の医局を目指して専攻医の執刀機会を増やしています。本人の希望に応じて国内外の短期研修も行われています。
国立循環器病研究センターの年間手術数は約1000例で、脳血管外科手術、脳血管内治療、放射線治療の全てのモダリティがそろう国内有数のハイボリュームセンターです。バイパス手術の練習環境が整っており、若手もバイパス手術の執刀機会が得られる施設です。内科部門も協力的なため専攻医が外科症例に専念できる環境が魅力の一つとなります。難易度の高い血管病変に対する直達手術と血管内手術を組み合わせたハイブリッド手術など稀な手術経験を抱負に積むことができます。
医学研究所北野病院の年間手術数は約500例で、特に、片側顔面けいれんと三叉神経痛に対する微小血管減圧術は年間約100〜80例と多くの症例数を誇ります。そのため専攻医は他の病院では経験しにくい後頭蓋窩手術に精通することができます。また、パーキンソン病に対するDBSや本態性振戦に対する集束超音波治療など機能外科手術のメッカとしても知られています。
神戸市立医療センター中央市民病院の年間手術数は約700例で、その約半数が脳血管内治療です。病院全体の救急疾患に対するアクティビティの高さも国内トップクラスで、全国から同じ志を持つ若手医師が多く集まっています。また、多くの臨床研究や最新デバイスの治験が行われる日本最先端の脳卒中センターです。
倉敷中央病院の年間手術数は約600例で、うち脳血管内治療が200例を超えます。くも膜下出血や、急性期脳梗塞、頸動脈狭窄症、頭部外傷などの急性期疾患を中心に、若手も多くの執刀機会が得られる施設です。チーム制・交代制勤務を取り入れることにより当直明けのdutyを無くし、専攻医が充実した研修を送れるよう様々なサポート体制を整えています。
静岡県立総合病院は2024年から新たに基幹施設となりました。年間手術数は約450-500例です。脳腫瘍開頭術 50件超、脳動脈瘤手術(開頭+血管内治療)50件超、脊椎・脊髄手術 100件超などメジャー手術の経験を多く積むことができます。入院数あたりの手術割合は70%以上と高く外科治療に専念できることと、専攻医一人あたりの手術経験は年間約150例と非常に多くの外科治療の経験を積むことができる施設です。