京都大学医学部附属病院 脳神経外科

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転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍

転移性脳腫瘍は、他の臓器にがんなどの腫瘍があり、それが脳に転移した脳腫瘍です。大本の腫瘍を原発巣と呼びます。一般的には、肺がん、乳がんからの脳転移が多く、その他には腎がん、前立腺がんなどがあります。術前の検査では原発巣がわからず、手術で摘出した腫瘍の病理検査や、術後の追加検査で原発巣が発見されることもあります。逆に、肺がんなどの既往があり、転移性脳腫瘍と思われていたものが、手術後の病理検査の結果、別の腫瘍であることもあります。
腫瘍は脳を圧迫して、麻痺や言葉障害などを引き起こし、さらに悪化すると意識障害や命にかかわる状態となります。転移性脳腫瘍は、腫瘍周囲に脳浮腫を生じ、症状をさらに悪化させます。脳室を圧迫して髄液の流れを障害することで水頭症を来すこともあります。

転移性脳腫瘍の一般的な治療法

  • 1) 脳腫瘍摘出
    一般的に3cm以上のサイズの転移性脳腫瘍やそれ以下でも腫瘍の浮腫が強く症候性の場合には腫瘍を摘出します。
  • 2) 放射線治療
    多数の転移性脳腫瘍があれば、全脳の放射線治療となります。一般的に3cm以下の転移性脳腫瘍は定位放射線治療の適応となります。リニアック、ガンマナイフなどの治療機器の選択肢があります。
  • 3) 化学療法(抗がん剤等)のみ
    原発巣の病理組織から、化学療法の効果が見込める転移性脳腫瘍では、化学療法の効果を見るのも一つの選択枝です。
  • 4) その他に民間療法、免疫療法など
  • 5) 経過観察
    治療介入が全身状態から難しい場合には、ステロイド治療や抗痙攣剤で経過を見ることもあります。

京大病院で行っている先進的な治療

転移性脳腫瘍の手術では、ナビゲーション、電気生理学的モニター、術中MRIなどを用いて、全摘出を行うようにしています。全摘出、他病変がないことを確認した場合には、放射線治療を行わずに慎重に経過観察を行うことで過度な治療にならないようにしています。
放射線治療では、最先端機器のトゥルービーム(TrueBeam)、ラピッドアークを用いた定位放射線治療を行っています。特に3cm以上の大きな転移性脳腫瘍に対しても放射線治療のみで治療を行うこともあります。 放射線治療後に生じる放射線性脳壊死が問題となります。放射線性脳壊死に対してベバシズマブを用いた治療を行い、良好な結果を得ております。

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転移性脳腫瘍