京都大学医学部附属病院 脳神経外科

menu

福井伸行 平成19年度卒業

現在川崎医科大学脳神経外科で臨床助教として勤務

福井伸行

1)脳神経外科を選択した理由
 私が脳神経外科を選択した最初のきっかけは、病院実習で脳神経外科研修の時に脳動静脈奇形摘出術(AVM)とてんかん焦点切除術の手術を見学したことでした。顕微鏡下での非常に微細な操作により、出血を認めることなく鮮やかに摘出されるAVM、神経内科医師との協力により周囲の正常脳を傷つけることなく切除されるてんかん焦点…脳神経外科であるからこそ挑むことのできる、未知の領域に非常に強い魅力を感じました。
  ですが、知識も体力も高度なものが要求され、正直自分で勤まるものかと決心しかねたまま研修医となりました。その後、研修医として京都大学脳神経外科を改めてローテートしてみることとしました。そこでスタッフの先生方の熱心な指導の元で、脳血管障害、脳腫瘍、機能外科、血管内治療など幅広い分野に触れることで、脳神経外科の奥深さや魅力を感じることができ選択を決心しました。
2)各専門領域の研修のメリット
 脳神経外科は脳神経に関する疾患の外科的治療に関する診療をつかさどり、これは一つの診療施設ではcoverできないというのがどの施設でも現状です。脳神経外科に限らず、小児であれば小児病院、救急疾患であれば救急医療施設、頻度の少ない治療困難な疾患であればその疾患に対する専門施設、それぞれの分担がなされるのも必然的なことと思われます。
  京都大学でも、宮本教授のもと治療困難な脳動脈瘤・もやもや病など脳血管障害の治療を始め、脳腫瘍・血管内治療・機能外科などいずれも豊富な症例数・診療体制が整っています。しかし、小児脳神経外科、脊髄脊椎外科、脳卒中診療領域については先述の疾患が主として取り扱われる中で、必ずしも十分な経験を積むことができないということも現状です。
 そういった中で、私は京都大学での研修の後に静岡県立こども病院で小児脳神経外科、彦根市立病院で脳卒中診療、藤枝平成記念病院で脊髄脊椎外科の専門領域研修の機会に恵まれました。いずれの施設でも京都大学関連施設として各専門領域のexpertの先生方の元で、集中的に実地的に研修することができました。さらには各領域の専門施設であるといった点から、小児の一般的な診察・診療や、脊髄外科における整形外科(末梢神経・股関節・膝関節疾患)や泌尿器(神経因性膀胱)などの診察・診療に対する最先端の知識についても得ることができました。
3)京都大学の教育プログラムの利点
 先述の通り、各専門領域施設での研修は非常に魅力的であることは言うまでもないことです。それに加えて、京都大学の豊富な関連施設の中で、各専門領域の知識を有した多くの先輩の先生方の元で共に働くことができることも(こそ?)、魅力的であると私は思います。専門診療科としては脳神経外科でも、各専門領域では知識はもちろんapproachする知恵・姿勢は微妙に異なります。そういったものは、expertの先生方の元で限られた期間とはいえ学ぶ機会がないと、なかなか得られるものではないのではないかと思います。
  現在(2011年7月より)、私は京都大学の医局を離れ、岡山県の川崎医科大学付属病院で研修中です。これも以前の医局制度では特に若手の間では得られる機会ではなく、宇野教授始め熱心な先生方の元で、異なった医局で研修させていただいております。これも全国に関連施設・知己を有する京都大学ならではと思います。
4)最後に
  非常に長くなってしまいましたが、京都大学は脳神経外科を志望するあらゆる医師に門戸が開かれています。分け隔てなく、どこにもない、充実した研修を受けることができていることも間違いありません。これからの研修医や医学生の方々と一緒に、京都大学で脳神経外科に携わることができることを楽しみにしております。